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郡内織物~富士山麓に生き継ぐ伝統と技術~

2022
02.25

郡内織物~富士山麓に生き継ぐ伝統と技術~

観光・食・文化

こんにちは。ハイクオリティやまなし編集部のしろねこです。県職員が自ら企画して執筆する職員企画記事、今回は産業振興課のテキスタイルについて紹介します。

皆さんはテキスタイルって聞いたことありますか?なかなか耳にしない言葉かもしれません。テキスタイルとは「布製品の生地や柄」のことを言います。
実は、山梨県はテキスタイルの産地なんです。山梨県の郡内地域(富士吉田市、西桂町、大月市、都留市)で作られているものは「郡内織物」と呼ばれ、服飾やネクタイ、バッグなどに使われています。今回は、その郡内織物についてご紹介します。

1. ハタオリマチの魅力が詰まった「ハタオリマチフェスティバル」

「ハタオリマチフェスティバル」通称「ハタフェス」。
それは、富士吉田市で開催される秋祭りのことです。県内の織物産地や全国各地から集まった生地製品や古道具のマーケットをはじめ、おいしい食事やワークショップも楽しめるお祭りです。毎年10月に開催されていますが、12月にも「ハタオリマチのクリスマス」というイベントが開催されています。私もこのイベントに行ってきました。

メイン会場のステンレス工業富士吉田支店に行ってみると、クリスマス仕様にデコレーションした会場の中に多くのお店が出店していました。郡内織物の傘やストールなど、色鮮やかな商品が並んでおり、見ているだけでもワクワクします。とても多くの人でにぎわっており、ハタオリマチの人気を実感しました。

では、なぜ郡内地域で織物が盛んになったのでしょうか。

「ハタオリマチのクリスマス」の会場 色とりどりの傘やストールが並ぶ

2. 1000年以上も続く伝統産業

郡内織物の始まりは、実に1000年以上も前にさかのぼります。山梨の織物が初めて登場したのは、平安時代の「延喜式」という当時の法律を定めた書物の中です。「甲斐(山梨)の国は布を収めるように」という意味の文章が記載されていました。

郡内地域が織物の産地となったのには、①寒冷地で稲作に不向きだったことから養蚕や絹織物を副業として行う必要があったこと、②山奥の産地まで商人に買い付けに来てもらえるように軽くて価値の高い上質な高級生地を作る必要があったという背景があります。

江戸時代になると、江戸の人々は指定された素材や色の服しか着ることが許されていませんでした。しかし、江戸の人々は「裏勝り」という美学のもと、服の裏地でおしゃれを楽しんでいたのです。細かく上質できれいな色と柄を織れる郡内織物は、「京都の織物は郡内にかなわない」と言われるほど江戸っ子の人気商品になりました。

そして、終戦後のガチャマン時代の全盛期、その後の安価な輸入品の流通による打撃などの時代を経て、現在まで受け継がれています。

羽織の裏地に使用されている

3. 郡内織物の特徴

江戸時代には一番の産地となっていた郡内織物。人気の理由は2つの特徴にあります。

  1. 富士山の天然水を使った染色
    富士山の天然水は硬度が低く、染色の邪魔をする不純物も少ないため、色鮮やかな染色をすることができます。
  2. 郡内織物は高技術の集まり
    郡内織物は手間と時間のかかる先染めを採用し、糸を染めてから織るため、高級感のある色と質感を生み出すことができます。
    また、細番手とよばれる細い糸を使うことで、軽くてきめ細やかな生地になるとともに、糸を多く使うことでプリント生地では表現できない色柄の立体感と高級感を生み出しています。
富士山の天然水による染色
細い糸を使用して生地を織る

4. 未来へ“つなぐ”ために

長い歴史を持つ郡内織物ですが、急速な時代の変化に追いつけず、やむなく廃業となってしまったところもあります。しかし、近年、織物工場を中心に、郡内地域の技術と伝統を次代へ引き継ぐための活動が広がっています。

「ハタオリマチのハタ印」は、繊維工場の人たちが自分たちのものづくりを自分たちの手で発信しようと2016年に立ち上げたプロジェクトです。近年は、ネクタイ、傘、ストール、生活雑貨など、さまざまなオリジナル製品のファクトリーブランドを立ち上げ、富士山駅Q-STA内の常設店「MILL SHOP」や、ECポータルサイト「ハタオリマチ商店街」などで、販売を行っています。

毎月第3土曜日には、産地工場を公開するオープンファクトリーが開催され、工場に併設するファクトリーショップでのお買い物も楽しめるイベントとして、人気を博しています。

山梨県としても、産地企業が取り組む製品の海外販路開拓や、国内外に向けた産地PR活動などを支援しています。山梨県産業技術センター富士技術支援センター(通称:シケンジョ)では、研究開発や技術相談・支援、研修会の開催などを通して、産地企業の支援を行っています。シケンジョの公式ブログ「シケンジョテキ」では、産地企業の技術や取組、産地をめぐる新しい動きなどを、研究員の目線で発信しています。

郡内織物を表紙に使用した御朱印帳(写真左)
「MAISON-SUSHI」(有)田辺織物をパートナーにデザイン事務所Nectonが展開する寿司ファブリックブランド(写真右)

山梨県では、郡内織物を未来へつなぐため、職人や地域が一体となって活動をしています。
ぜひ郡内織物を手に取り、歴史と伝統を感じてみてください。

関連サイト情報

毎日を楽しく彩るやまなしのスペシャリテ|富士山の麓で1000年以上紡がれるハタオリマチの織物
https://www.pref.yamanashi.jp/specialty/fabric.html

山梨ハタオリ産地の今を伝える ハタオリマチのハタ印
https://hatajirushi.jp/

ハタオリマチ商店街
https://yamanashi-tex.jp/shop/

シケンジョ公式ブログ「シケンジョテキ」
https://shikenjyo.blogspot.com/