焼香後の布おしぼり → 自動ウェットティッシュ機に変更 山梨の葬儀場、コロナ禍でサービス向上と業務効率化を実現

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最終更新日: 2024.02.09

特集:料理王国コラボ

特集:料理王国コラボ:美酒美食王国やまなし

焼香後の布おしぼり → 自動ウェットティッシュ機に変更 山梨の葬儀場、コロナ禍でサービス向上と業務効率化を実現

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最終更新日: 2024.02.09

コロナ禍では飲食や宿泊など、さまざまな業種が変革を迫られた。
葬儀も、その大きな波に飲み込まれた業種の一つだ。

故人の家族、友人、会社の同僚らが大勢集まる一般葬は密になると避けられ、少人数の親族のみが集まる家族葬を選択するケースが急増。

葬儀相談・依頼サイト「いい葬儀」によると、「行った葬儀の種類」は2020年調査では一般葬が48.9%、家族葬が40.9%だったが、2022年は一般葬が25.9%に減った一方、家族葬が55.7%と大きく伸びたという。
(引用:いい葬儀【第5回お葬式に関する全国調査】

感染のリスクはゼロではないが、故人との大事な別れの場をなくすわけにはいかないと、全国の葬儀場が消毒の徹底、スタッフの健康管理の強化などを行ってきた。

そんな中、山梨県の葬儀場運営会社「ジットセレモニー」では、新たな感染予防策として非接触型のウェットティッシュ自動供給機「SAWANNA(サワンナ)」(製造販売:株式会社Field Alliance)を導入。

その結果、感染予防や参列者の安心感創出につながったほか、人員配置の見直しなど業務効率化も実現できたという。

導入の経緯やメリット、安全安心な葬儀にかける思いなどを、同社エリア長の芝波田武さんに聞いた。

非接触でウェットティッシュの取り出し可能に。画期的と参列者にも好評

ジットセレモニー、芝波田エリア長

ジットセレモニーではお別れの場をキレイに保とうと、以前から清掃や整理整頓を徹底してきた。コロナ禍ではパーテーションを設置したり、入口に消毒液を置いたりするなど追加で対策を実施。

山梨県独自の感染予防認証制度「やまなしグリーン・ゾーン認証」の基準に基づき、感染症対策やマニュアル整備も進めてきたという。

「弊社にはもともと現状に満足せず、新しいことを積極的に取り入れてサービス向上に取り組むという社風がありました。コロナ禍では参列者の安心安全のためにできる限りのことはしてきました。ですが『もっとできることがあるのではないか』とアンテナを張っていたんです」

そのタイミングで出会ったのが「サワンナ」だった。東京で開催された葬儀関連のイベントで、同社の社員がサワンナを知り、導入を提案してきたという。

芝波田さんは「最初に話を聞いたときは、率直に『面白い商品だな』と思いましたね」と話す。

そこでさっそく4台を購入。一般葬で活用を始めた。

設置したのは入口ではなく、式場内だ。

式場ではお焼香の後、手に付いた粉を落とし、手を清めてもらうために参列者におしぼりを使ってもらうことがある。同社でもコロナ前はスタッフが参列者一人ひとりに直接布のおしぼりを手渡していた。

コロナ禍では参列者とスタッフの接触を避けるため、手渡しをやめて台の上に布おしぼりを並べ、自由に取ってもらうスタイルに変更した。だが芝波田さんは感染予防策としてもサービスとしても、十分ではないと感じていたという。

そこで布おしぼりの代わりにサワンナを設置。手をかざすだけで自動でウェットティッシュが出てくるため、手をキレイにでき、接触の可能性も格段に低くすることができた。

「導入前は、布おしぼりをやめることで参列者から不満の声がでるのではないかと心配していました。ですが使い始めてみると参列者からは非常に好評でした。『ジットセレモニーは画期的なものを積極的に取り入れて、感染予防を頑張っている』という、いいイメージも持ってもらえたと感じます」

人員配置見直しで業務効率化。おしぼり管理の負担も軽減

サワンナの導入により、経営面でもメリットがあったという。

布おしぼりを参列者に手渡ししたり、会場に並べたりする必要がなくなり、担当していたスタッフには別の業務に取り組んでもらうことができた。

「人員配置を見直すことができたことで、業務効率が格段にアップしました。また布おしぼりの業者との回収・交換のやりとり、保管スペースの確保、会場への運搬なども不要になり、スタッフの負担も軽減できたのです」

サワンナは充電式で持ち運びがしやすいため、葬儀の日程に合わせてサワンナを移動させて使っている。

「今は式場だけで利用していますが、今後ホテルや自宅などでの葬儀にも持っていければと考えています。コロナ禍では葬儀後の参列者による食事会も控えられていましたが、徐々に復活してくると思いますので、その際会場でもサワンナに活躍してもらいたいですね」と芝波田さんは期待を寄せる。

コロナ禍では葬儀の件数が減るなどし、経営面で打撃を受けた葬儀場も少なくない。だが芝波田さんは、決して悪いことだけではなかったと考えている。

「以前は『一般葬でなければ世間体が悪い』と考える方が少なくありませんでした。ですが、コロナ禍ではそういった方々が、家族葬を選びやすくなりました」

故人について語り合う大事な場所を取り戻したい

最後に、芝波田さんは葬儀への思いを語ってくれた。

「葬儀は、ただ悲しいだけの場所ではありません。故人の家族や友人が、故人との思い出を語り合うことで、生前には知らなかった一面に気づいたり、逸話を孫世代に語り継いだりする機会にもなっているんです。

コロナ禍では参列者同士がじっくり語り合うことはなかなかできませんでしたが、今後控え室での談話などが気兼ねなく行えるようになり、また葬儀の良い面を参列者のみなさまに感じてもらえるようになればいいなと思っています」

◆株式会社Field Alliance(愛知県大府市)技術開発部 市川幹也部長
「葬儀場でお焼香後にお手拭きが必要になるという話を聞き、サワンナが活用できるのではないかと考えていました。ジットセレモニー社は、葬儀場としてはじめての導入企業だったのですが、想定以上のメリットを感じていただき私たちも驚きました。サワンナは衛生面で優れているほか、個包装のお手拭きと違ってプラごみがでないためエコな側面があります。今後全国各地の葬儀場にも導入を呼びかけていきたいと思っています」

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