託児しながらスキルアップ!山梨県都留市のファミリー・サポート・センターで新たな取り組み

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最終更新日: 2022.11.30

託児しながらスキルアップ!山梨県都留市のファミリー・サポート・センターで新たな取り組み

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山梨県都留市にあるコワーキングコミュニティ「teraco.」。

「WEBライターとして働く利点は、時間や場所を選ばず在宅で仕事ができるところです」

響く声に、15人ほどの受講者が熱心に耳を傾ける。

「子どもが寝た後に仕事ができるなど、時間の融通が利くというメリットがあります。ほかには、例えば家族の転勤についていくことがあっても、キャリアが途切れない、という点も魅力のひとつですね」

そう話すのは、1,000人以上のWEBライターが所属するコミュニティ「ライター組合」の代表である佐々木ゴウさん。WEBライティングでの在宅ワークに興味のあるパパ・ママを対象に開かれている「WEBライティング入門講座」の講師だ。

「普段はお子さんのことで頭がいっぱいという方にも、自分のキャリアを考え、スキルアップに集中して勉強する時間を過ごしてほしい」という思いのもと開かれた講座には、子育て中のパパ・ママたち15人が参加。そのうち数人は同時に設置された山梨県の「ファミリー・サポート・センター(通称:ファミサポ)」にて託児サービスを利用していた。

子育て環境日本一を目指す、山梨県の子育て支援「ファミリー・サポート・センター」

山梨県は「子育て環境日本一」を目指して、県全体で子育て支援に注力している。
子どもや子育て世代が安心して暮らす環境を作るため、結婚・妊娠・出産・子育てといった段階ごとに、さまざまなサポート体制を整えている。

▼関連記事
山梨の不妊治療への取り組み・助成金一覧【2022年版】 – 子育て環境日本一を目指して

子育て世代に向けた取り組みのひとつが「ファミサポ」。
ファミサポは、子どもの保育など「子育ての援助を求める人(依頼会員)」を「援助したい人(提供会員)」が援助するという、地域における相互援助活動のことをいう。

県内17カ所のファミサポでは「急用ができたが、子供を預けられる人がいない」「保育園に預けられない日に仕事が入った」などの事情を持つ保護者から依頼を受け、研修を受けたサポーターが一時的に子どもを預かっている。生後3カ月〜小学6年生までの子どもが対象だ。

通常のファミサポは会員の自宅で子どもを保育することが多いが、山梨県におけるファミサポは、自治体の交流センターや市役所など、公共の施設で子どもを預かるところが大きな特徴。「広い施設でのびのび遊べる」「密室ではない、開放的な空間で複数の会員が見守ってくれる」といった点で、保護者に喜ばれている。

参考:山梨県内のファミリー・サポート・センター

パパ・ママのスキルアップを目指す取り組みとは

teraco.を運営している「株式会社 つるでつながる」と、都留市より受託したファミサポ事業を運営している「NPO法人にこ研 親子のえがお研究クラブ(通称:にこ研)」。

両法人は、パパ・ママの「スキルアップ」「キャリアアップ」を目的とした講座を開催。講座をつるでつながるが主催し、その間の託児をにこ研が引き受けている。今回、佐々木ゴウさんが講師を務めた「WEBライティング入門講座」もそのひとつだ。

「子どもがいると、自分のスキルアップに時間を割けない」
「家事・育児に追われて、キャリアパスを考える余裕もない」

子どもとの時間は大切にしたいが、自分の将来にもきちんと向き合いたい、と考えているパパ・ママは多いだろう。

モチベーションもスキルも高いのに、なかなか動き出せずにいる。
そんなパパ・ママに、一歩を踏み出す機会を提供できれば、という思いで企画された講座だ。

場所や時間に縛られない、WEBライターの働きかた

この日の講座は「場所や時間に縛られない、WEBライターの働きかたとは?」というテーマで実施された。

佐々木さんによると、WEBライターとして働くことには以下のようなメリットがある。

  1. 時間や場所に縛られない働き方ができる
  2. 仕事の供給量が多いため、仕事量を調整しやすい
  3. 汎用性の高いスキルが身につく
  4. 初期投資がほぼゼロで始められる

1. 時間や場所に縛られない働き方ができる

1つ目は「時間や場所に縛られない働き方ができること」。
締め切りさえ守れば「いつ、どこで仕事をしても自由」であることは、とても大きなメリットだ。

出勤の準備や通勤時間に時間をかけることなく、自宅ですぐに仕事に取りかかれる。
子どもが熱を出しても、子どもが寝たあとに仕事をすることもできる。会社に欠勤の連絡をする気まずさもない。

インターネット環境さえあれば働く場所も問わないため、自宅やコワーキングスペースなど、その日の気分で働く場所を変えることも可能だ。

2. 仕事の供給量が多いため、仕事量を調整しやすい

2つ目は「仕事の供給量が多いため、仕事量を調整しやすいこと」。
特にSEO記事を書けるライターは需要が多く、すぐに仕事を獲得できるという。

▼SEO記事とは
検索エンジンに「ユーザーにとって有益な記事」だと判断され、意図したキーワードで検索結果の上位に表示されることを目的とした記事を指す

仕事量が多いことによって、例えば「子どもたちの夏休み期間は、仕事を減らす」「祖父母に預けられるので、仕事を増やす」など、仕事量の調整も比較的容易になる。これは子どもが小さいパパ・ママにとって、かなり助かる働き方だ。

また、WEBメディアは定期的に記事を投稿していくため、継続して発注されることが多く、安定して仕事ができるというメリットもある。「新しい仕事を受注するため、営業し続けなければいけない」ということが起きにくく、安心して仕事を続けられるのは大きな利点と言えるだろう。

3. 汎用性の高いスキルが身につく

3つ目は「汎用性の高いスキルが身につくこと」。
ライターとして「読者に伝えたいことを、文章で的確に表現できる」スキルは、一度身につければ、その先何年も何十年も使っていける。

加えて、ライターの仕事を続けていると「コミュニケーションスキル」「営業スキル」など、汎用性の高い文章力以外のスキルも身につけられるそうだ。

4. 初期投資がほぼゼロで始められる

4つ目は「初期投資がほぼゼロで始められること」。
ここで言う「初期投資」とは金銭的なものだけではなく、学びの面も指す。

まず、ライターを始めるのに必要なのは「パソコン」と「インターネット環境」だけ。特別なツールは不要なため、初期投資額を抑えて「物は試し」と始められる魅力がある。

加えて、ライターには特別な勉強や資格が不要な点も大きい。学校生活を送ってきて、今まで「作文や小論文を一度も書いたことがない」という人はなかなかいない。読書が趣味だったり、作文が得意だったりという人は、記事を執筆するのに必要な「国語」が身についていると言えるだろう。

講座を受けた感想を記事にしてみよう

ライターへの最初の一歩として、佐々木さんから参加者に「今日の感想を書いてみる」という課題が提案された。

「なぜ講座に参加しようと思ったのか、講座を受けてどう思ったかなど、読者に伝えることを意識しながら書いてみるといいですね」と佐々木さんは語る。まずは日記をつける、サンプル記事を作成するなど、できることは色々ありそうだ。

参加者からは「記事はどんなツールで書けばいいの?」「どんな人たちが、どんな理由で記事の執筆を依頼しているの?」といった質問が次々と上がり、活気にあふれた質疑応答となった。

参加者の感想 – 「ライターなら経験を生かしつつ、自分の好きな時間に働ける」

参加者の近藤千尋さんは今回、10カ月の次女・未奈ちゃんをファミサポに預けて講座を受講した。「普段はずっと子どもと一緒で、自分のために使える時間はほとんどありません。こうして自分のための学びや将来のキャリアのために時間が使えるのはとてもうれしいです」と笑顔を見せる。

夫の転勤で都留市に引っ越してきて4年。予定を入れようとしても、子どもがいると都合がつけられないことも多い。また、仕事を探したくても「子どもの発熱などで急にお休みすると、迷惑をかけてしまうかも」と考えると、なかなか決心がつかなかったそうだ。

「在宅で仕事ができればいいのに」と思うこともあったが、そのためのツールや学習教材に初期費用が必要だったり、そもそもどこで学べばいいかわからなかったりと、最初の一歩を踏み出せずにいた近藤さん。

今回の講座は「託児サービスがあること」「参加費が無料であること」から参加を決めたという。ライターとして有名な佐々木ゴウさんが講師であり、主催が都留市の発展に取り組む企業・NPO法人だということも大きな決め手の一つになった。

近藤さんは、講座で「在宅のWEBライターなら、夜間や子どもがお昼寝している時など、自分や家族の都合に合わせて仕事の時間を調整できる」と聞いたことが印象に残っている。私でもできるかもしれない、と背中を押されたような気持ちになった。

また、実際に講座に参加して「ライターは、自分の経験を生かせる仕事だ」と感じられたことも収穫のひとつだという。近藤さんは今まで、異なる3つの職種の仕事をしてきた。

「ひとつの仕事を続けなかったことを、もったいなかったなと思ったときもあったんです。でも、これまで経験した仕事や趣味の知識を活かせると聞き、ライターという仕事に意欲がわきました。自分の経験に意味が生まれるのはうれしいですね」とやる気をにじませた。

「能力ややる気があっても、それを発揮する機会が限られてしまっているお母さんは多いのではないでしょうか。そんな人でも、子どもを安心して預けられて、自分の将来ややりがいのために学べる時間を得られるのは、とてもいいことだと思います」

「リフレッシュが目的でももちろんOK。どんどんファミサポを利用し留市まちづくり交流センター」内の室内公園で、見守り事業もおこなっている。コロナ禍のため午前・午後10組ずつという制限はあるが、利用している保護者には好評だ。

「リフレッシュが目的でももちろんOK。どんどんファミサポを利用して欲しい」

都留市のファミサポを運営する 「にこ研」の理事長、浅川絵里さんは「この講座をきっかけに、もっとファミサポを身近に感じてもらいたい」と語る。子育て中の保護者の交流イベントなども開催し、パパ・ママや子どもとの交流をはかりながら、友達作りの手助けをしているそうだ。

前述の通り、都留市のファミサポは会員の自宅ではなく、この交流センターで預かってくれるという大きな特徴がある。複数の大人が見守ってくれることで、保護者は安心して子どもを預けられる。

子どもが2人いると、つい下の子ばかりみてしまう、という保護者が「下の子を見てもらいつつ、上の子と目いっぱい遊んであげる」といった目的で利用をするケースもあるそうだ。

「保育園・幼稚園の入園前に、親子ともに練習としてファミサポに預けるのもおすすめですよ」とスタッフは笑顔で話した。

浅川さんは、子どもを預けることに罪悪感を持つママが多い、と懸念している。「ひとりでゆっくり過ごしたい、リフレッシュしたい、という目的でもいいんです。どんどんファミサポを利用して欲しい」と語った。

「にこ研のメンバーは、みんな現役のお母さんです。ママ友ができたと思って、気軽に来て欲しいですね」。

加えて、にこ研はファミサポを実施している「都留市まちづくり交流センター」内の室内公園で、見守り事業もおこなっている。コロナ禍のため午前・午後10組ずつという制限はあるが、利用している保護者には好評だ。

「在宅ワークという働き方を提示することで、ママやパパの力になりたい」

今回、講座を主催した「つるでつながる」代表のならみおさんと、メンバーの宇田川さんは、ともに子育て中のママ。

「在宅ワークに興味があるけど、何から始めたらいいのかわからない」
「子どもが小さいので外で働くのは難しいが、在宅ワークで社会との接点を持っていたい」

そんな風に悩むママ・パパの力になりたいと、teraco.で「WEBスキルアップ講座」を始めた。

前回はにこ研とタッグを組み、デザインツール・Canvaに関する講座を開催した。取り組みを始めて間もないが、すでに「私たちの考えに共鳴したママたちが来てくれている」と手応えを感じているという。

まだ種まきの段階だが、この取り組みを続けていくことできっと大きな花が咲く、とならさんたちは期待している。

「山梨県 男女共同参画団体活動 促進事業費補助金」を利用した新たな取り組み

今回の講座は「山梨県 男女共同参画団体活動 促進事業費補助金」の制度を使って開催された。「男女共同参画の推進に向けて活動をおこなっている団体が、地域課題の解決を図るために実施する事業」が交付対象だ。

参考:山梨県男女共同参画団体活動促進事業費補助金の募集について

今回のように子育て中のパパ・ママを支援する取り組みだけでなく、

  • 環境保全や地域美化に関する取り組み
  • 地域産業の活性化に関する取り組み
  • 心と身体の健康づくりに関する取り組み

など、その対象は多岐にわたっている。

山梨県男女共同参画・共生社会推進統括官の主任・堀口めぐみさんは「幅広い事業が補助対象なので、さまざまな団体に活用してもらいたい」と語った。

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